松茸1

えー、これから秋ンなりますと、”味覚の秋”とかいってネ、食欲がさかんになりますナ。
その、秋の味覚ン中でも、結構なものが、松茸でございます。あたくしも、アレは好きですナ、え、焼いてよし、おツユにしてよし、ナマでよし・・・。
まア、ナマじゃ、あんまり食べませんけどね、うちの女房なンかア、ナマのヤツをよく食べるんですが・・・。
なにも、こンなところで笑うこたアないヨ、お客さんだって、けっこう食べたり、食べさせたりなンぞしているくせに・・・。
えー、松茸屋が、松茸を売って歩いている・・・。
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松茸屋「えー、松茸ェ、えー、松茸ェ・・・」
女「ちょいと、ちょいと、松茸屋さん、ちょいとォ・・・」
松「ヘイ、毎度ありがとう存じます。えー、どのへんがよろしゅうござんしょう」
女「そうねェ・・・あア、これがいいわ。随分とリッパじゃないの。おいしそうねェ。これ、いくら?」
松「ヘイ、十五銭ですが・・・」
女「まアねェ、ねだんは手ごろだけど、あたし、ひとりだからねェ、こんな大きなの食べきれないわ。もう少し、ちっちゃいのにしようかしら・・・・こっちのは、いくら?」
松「ヘイ、十五銭です・・・」
女「エ、大きいのと、おンなじなの?」
松「ヘイ、同じでござんす」
女「おかしいじゃァないの。大きいのと小さいのと、同じ値段だなんて・・・」
松「ヘイ、あのう・・・松茸ァ全部、つッこみでございます・・・」
笑い話 艶笑落語 『松茸2』 につづく
公開日:
最終更新日:2018/08/12