寝坊息子

ある人、息子をしかる。
「もう起きないか、かかあ、ひっぱたいて起してやれ、そのように朝寝をしては、ろくな者にならねぇぞ。ついぞ早く起きたことがねぇやつだ。いま、なんどきだと思う。追っつけ四つ前(午前十時頃)だ。早く起きろ、いつでも、おれといっしょにばかり起きる」
小ばなし歳時記 加太こうじより
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破れ傘
ある武者修行の男、山のなかの一軒家に泊まる。
その家には美しい年増がひとり住んでいるきりなので、泊めるからには気があるだろうと、女が寝たころを見はからって、女の寝ている部屋へ忍びこんでいいよった。
女は武者修行の男をうまくあしらうが、肝心のところへくるとさせない。男はひと晩じゅう女を自由にしようとしたが、ついにものにならぬうちに夜が明けた。
夜が明けてみると、女も一軒家もかき消えて、残るは一本の破れ傘ばかり
「さては、あの女はこの破れ傘が化けたものか、どうりで、させそうでさせなかった」
小ばなし歳時記 加太こうじより
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公開日:
最終更新日:2018/08/12