一回やって四両

ある男、間男を女の亭主に見つけられて、いろいろとわびをして、結局のところ、四両払うことにして、ともかく自宅へ帰る。
男、女房に「カネを四両だしてくれ、これこれだ」と包まず話せば女房が「一回やって四両かい」「おおさ」
「それなら、お前さんあの人のところへいって、差引勘定だからといって、あべこべに四両とっておいで」
こっちの女房は二回していたとみえる。
小ばなし歳時記 加太こうじより
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ヘソの下
かみなりが、ガラガラピシャンと落ちた。そのあとへ、こわごわいってみると、弁当箱が落ちている。「おとっつあん、これなんだろう」
「イナズマの紋がついているから、大方、カミナリさまの弁当箱だろう。しゃれたものだ、二重弁当になっている」

「やあ、カミナリさまだけあってオヘソのつくだ煮だ。下には何がはいっているのかな」というと、
おやじ「ヘソの下はのぞくもんじゃない」
小ばなし歳時記 加太こうじより
その手
たこ、あまりの暑さに橋の下へでて昼寝をしている。それを猫が見つけて足を七本食い一本だけ残しておく。
たこ目をさまして「足を七本食われた」と向こうを見れば猫がいるゆえ、
「あの猫が食ったか、かたき討ちをしよう」と、一本の足をあげて猫をまねけば、
猫「その手は食わぬ」
小ばなし歳時記 加太こうじより
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公開日:
最終更新日:2018/08/12