ぼうやも見たい

ポールはだだっ子で、両親もほとほと手をやいている。今日も今日とて、地だんだ踏んでわめきたてて、女中のマリーがなだめても、いっかな聞きいれぬ。
「どうしたんだい。マリー」

「申せませんわ、奥様、こればかりは・・・」
「いいから言っておくれ」
「では申します。ぼっちゃまは私に・・・おしりを見せろとおっしゃいます」
「えッ?おしりを?まあ、この子は・・・」
母親、けんめいになってポールをなだめたが、ポールはますます泣きわめく。
「仕方がない、マリーや。この子はまだ六つだし・・・かまわないからちょっとだけ見せておやり」
マリー、裾をまくって、どうどうたるおしりを見せる。ポールますます泣きわめき、
「それじゃない!それじゃない!もう一方のがわだよ!マリーがゆうべとうちゃんに見せた方だよ!」
西洋小咄
スポンサーリンク
次 乞食のサービス へ
公開日:
最終更新日:2018/08/12