乞食のサービス

坂のとちゅうにある神社の石段に、日焼けしたばあさんの乞食が出ている。
お詣りに来た男が功徳心を起して、その前に腰をかがめ、銅貨を一つ、乞食の前の木箱に落としてやりながら、ふと見ると、乞食の前がはだけている。

おかしいやら、こっちがきまりが悪いやら、あわてて目をそらすと、乞食ばばあ、
「はァ、だんな、どうぞごゆっくりごらんになってくだせえまし」
現代小咄
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じいとばあ
昔むかし、じいとばあと二人住まいの田舎家にとまりあわせ、夜中に、「ばあや、ゆうべの仕残しをしょうか」
「サァ、始めましょ」
と、言うから・・・(コレは年寄りたちが昔を思いだしたそうな・・・)と、おかしく聞いていれば、
ばぁ 「さあさあ、当てがわッしゃい」
じい 「それ、ハァ、つっぱずれた!」
ばぁ 「よくしめっしゃい。なぜかだいぶ広くなった」
じい 「そなたの手でつかまえてはめやれ。ハァまたはずれた。ハハハハ」
と、笑うゆえ、客もあまりのおかしさ、そろそろ出て、そっとのぞいてみれば、コタツやぐらのつくろい・・・・
江戸小咄
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公開日:
最終更新日:2018/08/12