馬の耳

散歩道を歩いていた令嬢が、新婚旅行から帰ったばかりの級友とばったり出会って、車道のふちにとまっている牛乳屋の馬車のそばで立話をはじめた。
「まあ!ポ-リ-ヌ!お目にかかれて嬉しいわ。さあ、何もかも話してちょうだい。昔からの約束でしょ。新婚の晩はどこへ泊まったの」
「カンヌよ。海の見えるホテルに着いたのは、午後の四時ごろだったけど、あの人、私が着がえするのも待てないで・・・」
と、こんなふうに、新妻のポーリーヌは、きわどいところまで打ちあけて話しはじめた。
が、ふと、わきを見ると、牛乳屋の馬がその動物的な感動を現わしていた。ポーリーヌはまっかになった。友だちの手をつかんで、その耳に口を寄せて、
「向こうへ行きましょうよ。馬が聞いてるわ」
「まあ!ポ-リ-ヌ!お目にかかれて嬉しいわ。さあ、何もかも話してちょうだい。昔からの約束でしょ。新婚の晩はどこへ泊まったの」
「カンヌよ。海の見えるホテルに着いたのは、午後の四時ごろだったけど、あの人、私が着がえするのも待てないで・・・」
と、こんなふうに、新妻のポーリーヌは、きわどいところまで打ちあけて話しはじめた。

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が、ふと、わきを見ると、牛乳屋の馬がその動物的な感動を現わしていた。ポーリーヌはまっかになった。友だちの手をつかんで、その耳に口を寄せて、
「向こうへ行きましょうよ。馬が聞いてるわ」
仏小咄
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公開日:
最終更新日:2018/08/12