わかってる!

耳の聞こえない男が、結婚した。
教会の儀式も、とどこおりなく進み、いよいよ、花婿が、指輪を花嫁の指にさす段取りとなった。
もとより馴れぬことであり、あらかじめ習ってもこなかった、耳の聞こえない花婿、時がきても一向に動かない。
「指輪じゃ、指輪じゃ!」と、かたわらの坊さん、耳うちするのだが、てんできこえないらしい。
坊さん、これは手真似をするにかぎると思い、左手の親指と人差し指とで、指輪の形をつくり、右手の人差し指を中へ通して、二、三度動かしてみせた。
すると、花婿は、とたんに笑いだし、あたりにひびく声で、「わかってる、わかってる、このスケベ坊主!」
「そんなに大きな子供に、なんちゅうこったべ。とっくに、乳離れさせなくちゃ、困るでねえかよ」 百姓のおかみさんがおどろいて言った。
「そりゃ百もしょうちだけどさ」と友だちが答えた。
「でも、飲んじゃいけないっていうと、この子は私に石を投げつけるんだよ」
教会の儀式も、とどこおりなく進み、いよいよ、花婿が、指輪を花嫁の指にさす段取りとなった。
もとより馴れぬことであり、あらかじめ習ってもこなかった、耳の聞こえない花婿、時がきても一向に動かない。
「指輪じゃ、指輪じゃ!」と、かたわらの坊さん、耳うちするのだが、てんできこえないらしい。
坊さん、これは手真似をするにかぎると思い、左手の親指と人差し指とで、指輪の形をつくり、右手の人差し指を中へ通して、二、三度動かしてみせた。
すると、花婿は、とたんに笑いだし、あたりにひびく声で、「わかってる、わかってる、このスケベ坊主!」
西洋風流小咄集 より
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子供の気持も汲んでやらにゃ
片田舎の百姓のおかみさん、友だちを訪ねたところが、彼女は三歳になる男の子におっぱいを飲ませていた。
「そりゃ百もしょうちだけどさ」と友だちが答えた。
「でも、飲んじゃいけないっていうと、この子は私に石を投げつけるんだよ」
西洋風流小咄集 より
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公開日:
最終更新日:2018/08/12