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生酔い勘定

kobanasi  
       

 
 亭主の留守をさいわいに、若い男を連れこんで、一戦におよんでいるところへ、ヒョッコリと、亭主が帰ってきた。

 寝床にいる若い男の顔つきは、まるで青菜に塩、さすがに女は、ベテランの奥さん、落ちつきはらって、
 「どうやら酔っぱらって帰ったようだから、さわがない方がいいわ。そのまま、じっと動かないでね」

 そこへ亭主が、赤い顔をしてはいってきた。
 「ああ、酔った、酔った。眠くてしょうがないよ」と、ひとりで服をぬぐと、ベッドの中へもぐりこんだ。

 寝つきがわるく、何やらモゾモゾやっていたが、やがて、不思議そうな顔つきで、むっくりと起きあがった。



 「どうもおかしい?このベッドの中には、脚が六本あるようなんだが・・・」

 「何いってんの。おバカさんね。アルコールがはいると、すぐそれなんだから・・・。さあさあ、おとなしくねんねしなさい」

 
 すまし顔の細君の声に、一度は横になったが、また妙な顔つきで、
 「うんにゃ、たしかに六本だ!」

 細君も、もはや、これまでと覚悟をきめ、
 「あんたとあたしの脚が六本になったらバケ物よ。勝手になさい!」

 「よしっ!そんなら数えてみよう」

 ふらふらベッドをおり、毛布をめくり、ひィ、ふゥ、みィ、と数えていたが、
 「ちがいねえ、おまえのいうとおりに、やっぱり四本だ!」

西洋風流小咄集 より

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公開日:
最終更新日:2014/06/07

 
  •  制作者 seiwa
     年齢  じじ
     住処  埼玉県
     仕事  話し方教室講師
     

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