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亭主の趣味

kobanasi  
       

 ビアホールで悪友どもが集まって、ある問題について論議しあっていた。

 ある問題とは、「何をしているときが一番幸福か?」ということであった。

 ある者は、「映画をみているとき」といい、ある者は、「芝居小屋で女の手を握るとき」と、それぞれに思い思いのことを言いだした。

gaijin00 気の弱いジャックは、自分の答える番になって、小さな声で、「家内を抱いているとき」という答えをした。

 そのジャックが家に帰って、今日の友達との話題を、細君にたずねられ、話題だけは正直に打ちあけたが、さすがに「家内を抱いているとき」とは、いいかねて、「馬にのっているとき」と、言ったと、ごまかしてしまった。

 それを聞いたジャックの細君は、ニヤニヤしながら、ジャックの顔を見ていた。と、いうのは、近ごろ、習いはじめた乗馬で、彼がいかに醜態を演じているかを、彼女はよく知っていたからである。
 
 
 数日後、例の悪友どもは、道で、ぐうぜんにもジャックの細君にあった。
 「お宅のご主人は、大へんいいご趣味をお持ちですな」

 と、人のわるいのが、彼女をつかまえて、ちょっとからかうつもりで言った。他の連中も、このあいだのジャックの答えを思い出して、クスクス笑いだした。

 ところが、細君は、もっともらしい顔つきで、
「そんなこと、ほんとにしていただいては困りますわ。ウチの人ったら、それは見かけだおしなんですから・・・。このあいだも、やっと乗ったのはいいんですが、下から二、三回はねあげられると、マゴマゴして、首にしがみつくやら、声をたてたりして大騒ぎ。あげくのはては、お尻からすべりおちてしまう始末。ホホホホ・・・ほんとに意気地なしなんですのよ」

 さすがの悪友どもも、これにはアゼンとして息をのんだ。
 

西洋風流小咄集 より

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公開日:
最終更新日:2014/06/08

 
  •  制作者 seiwa
     年齢  じじ
     住処  埼玉県
     仕事  話し方教室講師
     

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