宿屋ぼぼ つづき3

客「おう、おやじさん、いるかい?」
亭「へえ、いらっしゃい、おう、旦那ですかい?」
客「どうだい、近ごろア・・・たまにゃ、かわったいい娘ァいるかい?」
亭「あ、ちょうどよござんした。今夜いるなア、もうできたてのホヤホヤ・・・」
客「つきたての餅じゃァねえや。なンだい、そのホヤホヤてえのは?」
亭「ヘエ、田舎から出たばかりってエ、まじりっけなしのオボコ娘を仕入れたんで・・・」
客「おやじさんのオボコ娘はあてにならねえや、こないだなんかは、てえへんなアバタ面をあてがわれたじゃねえか。文句いったら、顔に、ボコボコ穴があいてるから、オボコ娘だ・・・ッてやがる」
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亭「いえ、あのう、今日はもう間違ェのねえところで・・・」ええ、糸も通したことがねえという新鉢なんで・・・。その代り値はちっと張りますぜ」
客「いくらだい?」
亭「二分です」
客「二分?二分とはまた、気張りやがったナ、格子女郎なみだ。ま、いいや、新鉢ってェなら・・・ホラよ、二分金だ」
亭「ヘエ、どうも、ありがとう存じます」
客「女ア、どこにいるんだ?」
亭「ええ、この二階をトントーンと上がりましてネ、右へまっすぐ行って、右ですぜ。左ィ行くと非常口から落っこちる。右ィ行って廊下の一番奥の部屋なんで・・・。あッ、この羽織をね、裏返しに着てっておくんなさい。手ざわりでもって、黙って迎え入れる話が、デキてるんですから・・・」
笑い話 艶笑落語 『宿屋ぼぼ つづき4』 つづく
定本艶笑落語3 小島貞二編 噺家(橘家圓太郎)
公開日:
最終更新日:2018/08/12