松茸 2

えー、松茸ァつっこみだそうでございまして、あたくしも、この・・・”松茸”のはなしを、いくつか、つっこみで(まとめて)申しあげますが・・・。
亭主「おう、今、帰ったィ」
女房「あァ、お帰ンなさい。おや、何を買って来たんでね?」
亭「あァ、松茸をナ、ウー、買って来たんじゃなくて、友だちンところで、もらって来たんだィ」
女「おや、そうかい?そりゃァ何よりだヨ。わたしも大好物だからネ。まア、いい形してるねェ・・・」
亭「いじるんじゃァねえヨ。女ァ松茸なンぞいじってるなア、あんまり恰好のいいもんじゃねえや。あア、今日は、おれ、一ぺえやって来たからナ、今、食べるなアもてえねえや。こいつア、明日の楽しみにしよう。明日の朝、おつゆにでもしてくれよ。えッ、楽しみにするんだからナ、鼠にでもかじられないようなとこに、大事にしまっときなよ」
てンで、その晩は寝る。
からすカアと鳴いて、夜が明けると、
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亭「あア、よく寝た。ウーン、楽しみだねえ、今日は・・・。え、昨日の松茸・・・あれを食べなくちゃァナ。・・・うん、おいおい、松茸のおつゆこしらえてくんなよ。あまったらナ、金網の上にのっけてナ、焼きあがったところへ、ゆずなんか垂らしてナ・・・」
女「あらァ、ちょいと、おまえさんッ!」
亭「な、なんでえ、どうした!?」
女「すっかりダメになっちゃったんだよ、松茸が・・・」
亭「え、松茸が?そんなバカな話ってねえだろう。エ、一晩で、おめエ・・・みんなダメになっちまうなんて・・・。見してみろィ・・・あっ、こりゃひでエや、すっかりいかれッちまってるじゃねえか。どこへ、しまっといたんだい、この松茸?」
女「それがネ、鼠にかじられちゃいけないと思ってネ、米びつの中ィ入れといたんだよ」
亭「米びつ?馬鹿だなア、おめえは!?松茸てえものはナ、米粒一つぶついたって、クサるといわれるくれエのもんだよォ」
女「あら、そうなの。だから、フンドシにゃ糊(のり)をつけないんだね・・・」
笑い話 艶笑落語 『松茸3』 につづく
公開日:
最終更新日:2018/08/12