野心家のメイド

ピクスピイ夫人は、深夜、風呂の中で、その美しいからだを、のびのびと横たえていた。
と、とつぜん、なんの合図もなく、ドアが開いて、新しくやとったばかりのメイドが全裸で、とびこんできた。
メイドは、ピクスピイ夫人を発見すると、パッと顔を赤くして、
「あっ!奥さま、はいってらしたんですか。どうも失礼しました。あたし、旦那さまが、はいってらっしゃるとばかり、思っていましたので・・・」
「もし、もし、ヘンリィ?わたし、ベネットよ。今晩逢いたいの。ぜひいらしてね。え、今?そうなの、もう裸でベッドに入ってるの。じゃ、すぐいらしてね」
楽しい期待に胸をワクワクさせながら、風呂からあがろうとしているところへ、彼の妻が入ってきて、ヘンリィ氏を見ると、嬉しそうに叫んだ。
「まあ、あなた!今晩が楽しみだわ」
ヘンリィ氏、うっかり、
「ばか、これはご注文品だ。すぐ届けてこなければいけないんだよ」
と、とつぜん、なんの合図もなく、ドアが開いて、新しくやとったばかりのメイドが全裸で、とびこんできた。
メイドは、ピクスピイ夫人を発見すると、パッと顔を赤くして、
「あっ!奥さま、はいってらしたんですか。どうも失礼しました。あたし、旦那さまが、はいってらっしゃるとばかり、思っていましたので・・・」
西洋風流小咄集 より
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ご注文品
肉屋の主人のヘンリいィ氏、ゆっくりとお風呂につかって一日の疲れを落していると、かたわらの電話器が鳴った。
楽しい期待に胸をワクワクさせながら、風呂からあがろうとしているところへ、彼の妻が入ってきて、ヘンリィ氏を見ると、嬉しそうに叫んだ。
「まあ、あなた!今晩が楽しみだわ」
ヘンリィ氏、うっかり、
「ばか、これはご注文品だ。すぐ届けてこなければいけないんだよ」
西洋風流小咄集 より
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公開日:
最終更新日:2018/08/12