氏神さま

えー、夏の夜なンぞは、寝られないままに公園など散歩いたしますと、あっちこっちの木かげなンぞで、よく若い男女が抱き合ったりなンぞしてましてナ、そんなのを見せつけられて、かえって寝つかれなくなったりするもので・・・。
こんなのは、昔からあった風景で、昔はといyと、村の鎮守のお社、氏神さまの境内なんぞが、よく利用されたんですナ。
今とちがって、めったに会えない。人目忍んで、やっとの思いで会うんですから、会ったとなったら、さアたいへん。
一度すませまして、用意の桜紙かなんかで、始末しまして、始末したそばから二回戦、こいつをまた始末しまして、また、次回がはじまるってエわけで・・・。
そこへ折悪しく、その神社の神主さんが回って参りましてナ、
「これこれ、おまえたちは、ここをどこだと思っている。えッ、神聖な境内で、何をしておるかッ!!」
ハッと驚いたが、苦しまぎれに、言い抜けのチエも出るもので、
「ハ、ハイ、私どもは、この神社のためにご奉仕をさせていただいております・・・」
「なに、奉仕じゃと?」
「ハイ、その、氏子をふやす作業をいたしておりますので・・・」
ウーム・・・と神主さん、ツマりましたが、ふと、この累々たる戦いのあとを見まして、
「ウム、氏子をふやすとは奇特だが、神社の境内にて、なンたることだ!」
「へ、へッ、と、申しますと?」
「見ろ、このように、神(紙)を粗末にしておるではないか・・・」
こんなのは、昔からあった風景で、昔はといyと、村の鎮守のお社、氏神さまの境内なんぞが、よく利用されたんですナ。
今とちがって、めったに会えない。人目忍んで、やっとの思いで会うんですから、会ったとなったら、さアたいへん。
一度すませまして、用意の桜紙かなんかで、始末しまして、始末したそばから二回戦、こいつをまた始末しまして、また、次回がはじまるってエわけで・・・。
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そこへ折悪しく、その神社の神主さんが回って参りましてナ、
「これこれ、おまえたちは、ここをどこだと思っている。えッ、神聖な境内で、何をしておるかッ!!」
ハッと驚いたが、苦しまぎれに、言い抜けのチエも出るもので、
「ハ、ハイ、私どもは、この神社のためにご奉仕をさせていただいております・・・」

「ハイ、その、氏子をふやす作業をいたしておりますので・・・」
ウーム・・・と神主さん、ツマりましたが、ふと、この累々たる戦いのあとを見まして、
「ウム、氏子をふやすとは奇特だが、神社の境内にて、なンたることだ!」
「へ、へッ、と、申しますと?」
「見ろ、このように、神(紙)を粗末にしておるではないか・・・」
定本艶笑落語 小島貞二編より
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公開日:
最終更新日:2018/08/12