笑い話21


今日まで漂流三週間。いよいよ船の中には食うものはひとつもない。

と一同前をひろげて小刀を出したが、そのとき一人が言うのに。
「おいちょっと待て。どうせ切るなら、大きくして切ろう」

「お気のどくだが、ラバルさん。こまったことになった。あんたは中気になりそうだよ」
「ええッ、こりゃたまらねえ。中気だって・・・。
あ、弱った弱った。でも、先生、まさか全身不随じゃないでしょうね」

それを聞いたとたんいラバルが、大いそぎで更衣室に入っていった。その後姿に、お医者が、
「おい、なにしに行くんだ、そんな所へ」
「きまってますよ、先生。右側にいれかえるんですよ。このまま左に置いといたら、大事なものが使えなくなる」
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「君は時々ウソをつくようだね」
「ええ、時々はね。・・・・
だって、あなたのほんとうのことは人さまには言えないですもの」


「おしばらくね、ずいぶん、お変わりになったわ、ひふもすっかりたるんでおしまいになって・・・」

噺家(はなしか)が高座で話しているとき、一人の客が大きな口をあけてアクビをした。ムッときた噺家が「お客さん、私だって一生懸命やってんです。聞いていると我々の商売も楽そうに見えるが、これでなかなか大変なんですよ。嘘だと思ったらお客さんここへ上って一度やってごらんなさい」とその客に言った。

すると客が「それじゃ、お前ここに来て、一度、お前の咄(はなし)を聞いてみろ」と、やり返した。
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公開日:
最終更新日:2018/08/12